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いまだからこそ目視検査を見直し、健康を取り戻す(予告編)

2020.02.12

~不良の見逃しを無くし、検査を高速化させ、尚且つ低疲労で検査する事ができる周辺視目視検査法が日本の製造業を守る(予告編)~

令和元年5月号7月号で取り上げた目視検査の見直し方法に関連する特集記事が好評で、多くの意見をいただく事が出来た。検査の自動化が進む昨今においても、人の目による検査が無くせない事や、その技術についての注目が高い事が分かった。その記事中で触れた外観検査ワークショップが盛況に開催されたことを承けて、今年は2020年9月23日(水)・24日(木)ワークピア広島で開催する事になった。

PVI2019外観検査ワークショップの開催報告

 目視検査に特化したワークショップ、PVI2019は、 昨年9月にAGCモノづくり研修センター(横浜市)で開催された。副題は、「環境と身体動作が創る効率と健康」。高速且つ低疲労の仕組みが大きな特徴である「周辺視目視検査法」を、目視検査の見直し方法として紹介した。更に、照明環境が重要であり、検査に不要な周囲光を遮ることにより、低照度で高感度の検査が可能となるとともに、検査員の健康に寄与することを実演・体験・事例紹介・特別講話を通して紹介した。参加者は54機関105名。その内、企業関係者は47機関94名だったとのこと。まさに現場ニーズに沿ったワークショップだった。
 会場は、講演や実演を行うスペース、10ブースの体験展示スペースが割り当てられ、講演で聞いたことをその場で体験し、確かめることが出来る配置であった。一方的な知識伝達のスタイルではなく、参加者が自ら参加・体験して共同で学びあえる工夫がされていた。
PVI2019のプログラム構成は、参加者全員が参加、体験できて、周辺視目視検査法をより身近に感じることが出来るプログラムとなっていた。
⑴超入門
・環境と身体動作が創る効率と健康
⑵支援技術
・目視検査のための照明と照度
・瞬目/視線解析による訓練支援と習熟度評価
・外観検査/目視検査のための画像処理/AI技術の上手な活用
⑶検査実演と指導
⑷支援機器デモ
・目視検査員の健康のための照明
・訓練評価
・画像検査/AI検査/ガラス検査
⑸改善事例紹介
⑹講話
・目視検査健康学
・人を健康に導くインテリア健康学

周辺視目視検査法

 周辺視目視検査法ができるようになるには、まず、キズがなぜ目に見えるかというキズの検出原理を理解すること、次に、検出原理に基づいた照明環境を構築することが重要であることを実演交えて紹介した。壇上に目視検査作業台、その左側に簡易暗室を置き、アイカメラを介して眼と眼から見た前方の様子をスクリーンに映し出した。目視検査作業台には、LED 照明、有機EL 照明が取付けられており、室内照明も含めて各照明を点灯・消灯したときの瞳孔径の変動の様子を観察することができる。光沢反射の強いワークでは、検査照明以外の不要な周囲光を除外すると、ワーク面上で僅か100ルクス以下の極めて低照度でキズが良く見えること、周囲光の影響が強い場合には、 検査照明の照度を高くする必要があるが、キズの見易さは低下することなどを紹介した

 体験展示スペースでは目視検査支援機器のデモと体験が10ブースで行われた。検査用照明としては、既に製品化されている有機EL照明を使ったデスクライト、ベースライトの他、本ワークショップでの発表を目指して目視検査用として開発した製品が新たに2社から展示された。蛍光灯からLEDへの切換えが急速に進む中、高効率・高輝度を目指すのではなく、検査員の眼の健康を守るための製品が開発され、出展されたことに、本ワークショップの活動の影響力が大きいことが感じられる。特に、目視検査用照明は検査に不要な環境光を除外することが重要なことから、2社からは暗室型の検査ルーム・検査ステーションの展示が行われ、参加者に、暗室での欠陥等の検査の重要性が伝えられた。
 目視検査改善事例紹介では、本紙令和元年11月号で「人に優しい職場環境の実現」に向けた取組みを紹介した(株)キーレックスが最初に検査環境の見直しとして、検査室内への環境光の遮断とLED照明から有機EL照明への変更を行い、指導を受けた周辺視目視検査がほぼできるようになるまで上達したことが報告された。今後、この取り組みを社内並びに取引先に展開し、その成果を次回のPVI2020で報告するとのことであった。

PVI2020外観検査ワークショップが広島で開催される

“PVI2020外観検査ワークショップ~人に優しい職場環境の実現”
 目視検査を見直すことによって、不良の見逃しが無くなり、検査員は身体と心の両面で健康になり、職場は明るくなる。これを2017年から毎年開催された過去3回のワークショップで実証してきた。PVI2020では残る重要課題である検査員の養成と検査体制の継続について、講演、事例紹介、実演を予定している。社員の健康を守るとともに生産性向上を目指す「健康経営」についても討論したいと考えている。

【問い合わせ先】

(公社)精密工学会 画像応用技術専門委員会 感察工学研究会 PVI2020事務局
ishii@eng.kagawa-u.ac.jp

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