【特集】SURTECH2019 表面技術要素展

基盤産業である表面処理業の更なる発展を目指し、
材料表面の最前線を紹介
一般社団法人表面技術協会・日本鍍金材料協同組合・株式会社JTBコミュニケーションデザインが主催し、一般社団法人日本表面処理機材工業会・全国鍍金工業組合連合会が後援する、表面処理・表面改質・表面硬化など幅広い産業分野に対応した表面技術の展示会「SURTECH2019 表面技術要素展」が、1月30日㈬~2月1日㈮の3日間、東京ビッグサイト・東4ホールに於いて開催される。
同時開催には「ASTEC2019第14回先端表面技術展・会議」「nano tech 2019 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」「InterAqua 2019 第10回 国際水ソリューション総合展」「Convertech JAPAN 2019」「新機能性材料展 2019」「3次元表面加飾技術点 2019」「JFlex2019」「先進印刷技術展2019」「ENEX2019」「Smart Energy Japan 2019」「電力・ガス新ビジネスEXPO 2019」「TCT Japan 2019」がある。
これら展示会に表面処理関連業界から出展する注目企業を紹介する。
フィッシャー・インストルメンツ(東4ホール 4T-10)
㈱フィッシャー・インストルメンツ(東京都千代田区東神田2‐4‐6 S‐GATE秋葉原ビル7F/野中 等社長/03‐3864‐6101)は、膜厚測定・素材分析・微小硬さ試験・材料試験における測定装置を提供する専門メーカー。種類豊富に取り揃えているハンディタイプの膜厚計は、鉄や非鉄金属上の皮膜測定に適しており、使いやすい操作性が高く評価され、表面処理業界への導入が進んでいる。次に今回のSURTECH2019に出展予定の製品の一部を紹介する。
■超小型膜厚測定器「MP0Rシリーズ」
▽特徴=作業現場でも持ち運びが便利なポケットサイズの膜厚測定器。プローブ内蔵型と80㎝のプローブ一体型をラインナップ。操作性に優れた設計であり、初めて膜厚計を扱う人でも簡単に測定が可能。デュアルスコープMP0Rは、電磁式と渦電流式の両方の測定方式を搭載し母材を自動認識して切り替えて測定する。読み取りやすい2画面でデジタル表示し、どんな測定ポジションからでも膜厚値を読み取りやすい。
■ハンディタイプ膜厚測定器「FMPシリーズ」
▽特徴=高精度で広範囲の測定が可能なポータブル膜厚測定器。プラグインタイプのプローブを接続することができるFMPシリーズは、小さい部品・曲率のある形状・パイプなどの狭い内面の測定用プローブなど測定課題に応じたプローブを数多く取り揃えている。さらには、測定方式によってモデルが分かれており、電磁式のDELTASCOPE(デルタスコープ)、過電流式のISOSCOPE(イソスコープ)、両方式を備えたDUALSCOPE(デュアルスコープ)がある。
■渦電流位相式膜厚計「PHASCOPE PMP10」
▽特徴=ISO21968準拠の渦電流位相式のハンディタイプ膜厚計。プローブが皮膜に完全に密着している必要がなく、表面の粗い膜、小型部品、スルーホール内の銅メッキなどの膜厚測定に適している。またパシベーション膜があっても、非破壊で銅膜厚を直接測ることができる。特別な専用プローブを使用することで、鉄上のニッケルの膜厚測定、鉄上の亜鉛または銅の測定(粗い面や複雑な表面形状にも適している)に対応。バッテリー搭載による携帯型、電源プラグインによる連続運転も可能。最大2万件まで測定値の保存が可能。RS232インターフェースを搭載しており、データの転送も可能。
■ハンドヘルド型蛍光X線式膜厚測定・素材分析器「FISCHERSCOPE X‐RAY XAN 500」
▽特徴=携帯可能なハンドヘルド型の蛍光X線式膜厚測定および素材分析装置。品質管理や受入検査、工程管理に適しており、シリコンドリフト検出器搭載により、高精度かつ高い検出感度を実現。大型の構造物やアクセスが困難な場所にいても測定することも可能。全体的な操作や測定データ表示などは、Bluetooth接続により専用ソフトウェアが搭載されたPCやタブレットPCを使用するため、コンパクトでありながら高機能な測定分析機能を備えている。
■微小硬さ試験機「HM2000」
▽特徴=材料の微小硬さ、弾性等を正確に測定するための測定システム。荷重押し込み深さ法を動作原理にしている。プログラミング可能なXYステージ付きのため、測定物のポジショニング性に対する要求が高度なものにも適している。
上村工業(東4ホール 4N-12)
「めっきでなければ描けない未来を創造いたします」をキャッチフレーズにめっき関連商品を出展
上村工業では今回出展のキャッチフレーズを「めっきでなければ描けない未来を創造いたします」と題し、無電解ニッケルめっき薬品、前処理薬品および液管理装置として、高耐食・厚付け無電解ニッケルめっき浴でニッケル以外の重金属を全く使用しない有害重金属フリーの無電解ニッケルめっき浴の「ニムデン®KFJ‐20 ver・S & ver・TL」や析出状態で高硬度な皮膜が得られる、鉛フリー低リン無電解ニッケルめっき浴の新製品「ニムデン®KHN‐2」、はんだ接合信頼性に優れた低リン無電解ニッケルめっき浴の「ニムデン®KSL」、めっき皮膜が耐折性に優れた鉛フリー無電解ニッケル浴、「ニムデン®KLT」、耐摩耗性に優れたNi‐Co‐Pめっき浴の新製品「トリアロイ®KKR」、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)微粒子共析無電解Ni‐Pめっき浴の「ニムフロン®」等を展示する。
また、めっき後に黒化処理することで安定した黒色皮膜が得られる有害重金属フリーの無電解ニッケルめっき浴の「ニムデン®ブラック」では、光沢のある黒色皮膜が得られる「ニムデン®ブラックKMC‐3」と、黒みの深い皮膜が得られる「ニムデン®ブラックKJB‐2」プロセスから選択することが可能となっている。
アルミニウムおよびアルミニウム合金上に、薄くて均一な亜鉛置換皮膜を形成するジンケート浴の「ニムデン®ジンケートLEA‐10」や操作性を重視しためっき液管理装置の「スターラインダッシュ4‐NP」、サテンニッケルめっき薬品としては、従来浴と比較して浴管理が飛躍的に改善された電解サテンニッケルめっき浴の「MIYAVINO SHINE APL‐3」他を展示する。
伸栄化学産業(東4ホール 4E-06)
純水製造法「トリオベッド」と排水の高度処理装置を展示
メッキ業界では建浴工程で多くの純水を使用している。水処理装置の総合メーカーである伸栄化学産業㈱(埼玉県三郷市中央2丁目12―10/鈴木勝夫社長)は、1月30日から東京ビッグサイトで開催される「SURTECH2019」(4E―06)に於いて、高純度水が得られるトリオベッドシステムや、今回新たに特殊キレート樹脂を用いたメッキ浴の延命化、更には水洗水のリサイクル使用と、バラエティに富んだ展示を行う。
トリオベッドシステムは、現場設置型の混床塔(ミックスベッド)であるが、一般の混床塔と比較すると純度不良のトラブルが生じないだけでなく、純度立上りが格段に早く、ラフな管理でも間違いなく高純度水が得られる特長を有している。混床塔内で時折見られる白色結晶(沈殿物)も一切解消する。一般の混床塔との大きな違いは、カチオン樹脂とアニオン樹脂の境界に位置する不活性樹脂を配することにある。この不活性樹脂が塔内の中間コレクターを包み込むことから効果が発せられる。3種の樹脂を用いるため「トリオベッド」と称されており、住化ケムテックス㈱の技術ではあるが、伸栄化学産業㈱ではいち早く取り扱いを始め、専門家を配置している。
またメッキ浴の延命化においては、メッキが進むにつれ浴液に増大する不純物イオンを特殊なキレート樹脂で除去し、浴液をそのまま継続使用するシステムで、既に数テーマにおいて実績を上げている。
水洗水のリサイクル使用については、酸、あるいはアルカリ性の水洗廃液を脱酸、脱アルカリ樹脂を通し、次に金属吸着用キレート樹脂で重金属を除去し、更に純水用樹脂(MIX)で仕上げ(脱塩)を行うシステムで、リサイクル水に硬度,シリカが含まれないため、「しみ」の対策にもなっている。
伸栄化学産業㈱では、各種メッキにおける個々の客先要望に応えるため、日々客先と一体となって開発に取り組んでいる。
タイホー(東4ホール 4D-05)
先端技術と感動サービスで「個客」満足を実現
㈱タイホー(山口伸一郎代表取締役社長/埼玉県川口市東領家2‐37‐18)は、亜鉛めっき薬品専門メーカーとして、「亜鉛めっきの問題解決」をあらゆる角度からサポートしている。
同社は「金属表面処理の総合プロデューサー」として2019年1月30日㈬から2月1日㈮までの3日間に東京ビッグサイトで開催されるSURTECH2019に出展する。
同社の出展ブースは『現場と環境にやさしい商品づくり』のコンセプトのもと、環境対応と高耐食性を考慮した商品の展示を主軸としている。
今回、同社が出展する製品の見どころとしては、
①今回注目されるであろう「ノーコバルト後処理剤」は、高懸念物質として、さらに近年では価格高騰のリスクも抱えているコバルト原料を一切使用しない亜鉛めっき用後処理剤で、銀白色、黒色の2色とも取り揃えており、それぞれ十分な耐食性を実現している製品。
②また、「トップコート」は亜鉛めっき後処理後の耐食性を格段に上げることが可能で、白さび発生無しで800時間を達成している。耐食性だけでなく外観もつやが増し光沢の向上を実現している。製品には3価クロム化成処理用銀白色・黒色の二種類の色調が有る。
③今回新たに出展する製造委託サービスは、現在あらゆる業界で問題にされている人手不足問題の解消や工場の設備投資の抑制などのメリットを実現することができる。特に環境負荷の高いクロム酸関係の製造にも対応できる点は他の委託業者と一線を画する。
同社では、めっき品質向上だけでなく、めっき作業現場の環境を改善するための製品も提案している。
三進製作所(東4ホール 4P-03)
「技術を中心とした品質奉仕」を基本方針とし、「はばたく中小企業・小規模事業者300社」をはじめ、数々の受賞をしている㈱三進製作所(本部:愛知県犬山市大字羽黒字貴船浦1‐2/柳下幸一代表取締役)は今回も継続して「SURTECH2019」に出展する。(ブース№:東4ホール4P-03)
㈱三進製作所は昭和23年の創業以来、《独自の技術開発への飽くなき挑戦》と《進取の精神をもって広く産業と社会全体の進歩発展に資する》を事業展開の中心に据えて活動をしており、2018年の9月に創立70周年を迎えた。
今回の主な展示製品で、注目を浴びるであろうと予想される、同社ブースで実演を行う「FD型精密ろ過機」は、ろ過機上部に“ろ液”室を内蔵し、クリーンな液で瞬間逆洗する瞬間逆圧共液洗浄機構により洗浄時間2分以内と短く、ろ材回復率が極めて高く、プレコート、ノンプレコートでのケークろ過はもちろん、脱水機を組み合わせる事により、精密ろ過から洗浄、逆洗液の回収、スラッジ排出まで、適用範囲が広く各種溶液に実績も豊富である。
シンプルなチューブラタイプのろ材・ろ布でメンテナンスが簡単なため、プレコート→ろ過→洗浄の工程の自動化に最適とされている。
また、カートリッジ式(typeC)やろ布方式(typeE)、バックフィルター方式(typeB)、チューブラ逆洗方式(typeT)、金メッキ液専用(typeK)、ステンレス製(typeS)、精密ろ過ハウジング(typeH)等のラインナップが揃っている「エコエース®プラス」は1948年から培ってきたろ過技術と、顧客の声をもとに改善改良された精密ろ過機で、安定したろ過精度、操作性の向上、設置の省スペース化、低ランニングコストを実現している。2018年4月には『ふた開閉に工具を用いての締め込み作業が必要なため、開閉作業に時間がかかる』『ボルトの締め具合に個人差があり、ふたに歪みが発生する』といった欠点があった【蝶ナットボルト方式】から、『ふた開閉作業が容易になり、手間と作業時間が省ける』『均一の締付力で液漏れを無くし、締め過ぎによるフランジ部へのダメージ蓄積を軽減できる』『両側が固定されているため、部品の脱落事故を防止できる』と改善された特徴を持つ【カムレバー方式】を発売している。
他、水回収を行う槽にセットするだけで、設置したその日から水循環を可能にし、さらに分別回収したスラッジ中の有価金属分を再資源化でき、引取再生方式のため、イオン交換機のための再生装置、排水処理設備は不要な水回収・スラッジ減量と分別化対策に最適なボンベ型イオン交換機「パトローネⅰ®」等である。
また、1976年に国内最先発で愛知県犬山市に開設して以来、2016年の11月に東京都大田区京浜島にも開設されて稼働しているイオン交換機の引取再生事業の「資源化センターシステム(RCS:Resource Center System)」のパネル展示等がある。